『年をとっても衰えない力』とは何か、
その問いに対しての一つの答えである『勁(けい)』という力について説明します。
『勁』とは、電気が流れるときに生まれる磁力のような力だと思ってください。
つまり、体に『気』が流れると『勁』が発せられるということです。
『気を感じる』という表現も、厳密に言えば『気』そのものを感じるのではなく、『勁』を感じているということです。
この『勁』の用い方によって『勁力』という『力』として使うことが出来るようになります。
表現や解釈に違いはあれど、『勁力』は多くの武術に用いられているはずです。
太極拳の『推手(すいしゅ)』という組手を、高齢者でも若者と対等に行うことができるのは、『勁力』で体を動かしているからです。
また『勁力を相手の肉体に作用させる』ということは、
たとえば、指圧などの『手技療法』においても同じことで、
その『圧』というものは、勁力による圧であることが望ましいと思っています。
小手先の力ではなく、単に体重をのせることとも違います(※『重力を伝える』ことと『体重をのせる』ことは異なります)
『勁力』を用いれば、けっして強い力ではなくても奥深い刺激が伝わります。
それは相手の体を傷めることなく、また、施術者自身の体を守ることにもつながります。
そして最初の問いに対して言うならば、『勁』は『気』の鍛錬をすることで養われるのですから、
少なくても筋肉の衰えには影響されないといえます。